レクリエーショナル・ビークル的音楽雑記

音楽にまつわるお話を徒然なるままにします。好きなもの紹介・新譜レビュー等

日本のシンガーの発声スタイルの変遷-その4-

前回までのあらすじ

50~70年代の所感

日本のシンガーの発声スタイルの変遷-その1-


80年代の所感

日本のシンガーの発声スタイルの変遷-その2-

 

90年代の所感

日本のシンガーの発声スタイルの変遷-その3-

 

今回は日本音楽全盛期の後の、2000年代をまとめていきます。

個人的には最も知識がザルな年代な気もするのですが、

比較的最近の流れなので、サクッといきたいですね。

 

2000年代:斜陽の兆しでもがく光

リーマンショック等で経済収縮が起き、先進国に多大な影響が及んだ2000年代。
また、資源価格高騰と地球温暖化問題の表出化が印象的な時代でもあった。

世界ではR&Bやヒップホップがブームに。またバンドではオルタナやミクスチャー要素のあるスタイルが流行。音楽ジャンルとしては、とうとう飽和化が生じ始める。

 

日本としては、ヴィジュアル系ブームが徐々に衰退。R&Bが日本のポップスの実権を握り始める。
また、やけにポジティブな世界観の歌が流行り始めるのもこの年代からである。経済的不況の反動か。

 

男性シンガーの紹介

2000年代の男性シンガーの所感:

  • 音楽の嗜好性の問題からか、マイルドな歌い方をするシンガーが増える
  • ミドルボイスもやや裏声寄りの発声をするシンガーが増えてくる
  • シンガー単体で強烈なインパクトを残すという意味では、今一つといった印象。どちらかというと、「歌」で聴かすというよりは「曲」で聴かす傾向が強い時代であると言ってもよい
  • また、ニコニコ動画から「歌い手」が出現し、高音偏重のブームがネット上では静かに巻き起こる

 

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(2000年代前半にスマッシュヒットを放ち、一世風靡したオレンジレンジ。何かとパクり疑惑が当時ネット上で巻き起こったのも印象的であった。三声混合はバンドとしては割と珍しい。ただ、彼らの場合は歌声の良さというよりはキャラクター的な魅力の方が恐らく大きかった)


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(音楽デュオとしては2000年代最も成功したであろうコブクロ。黒田氏は玉置浩二の系譜の歌唱スタイルですね。意外とこういう歌唱スタイルの人は、00年代にヒットしたシンガーの中では珍しいタイプ)

 

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(第1期と第2期では音楽性が少しばかり異なるEXILE。セールス的にはTAKAHIRO加入後の方が売れているのかな(知らない)?ATSUSHIのマイルド且つキャラクターとして確立された歌声は正にダンスポップを歌うのには打ってつけという感じである)

 

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(今も尚フォロワーが尽きない人気バンド、バンプ藤原基央の少し鼻にかかった様な個性的で魅力的な歌声が特徴的。彼らによって似た様なスタイルのバンドが量産されてしまった点は、功罪とも言えるか)

 

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(ギネス記録も保持する、日本音楽史に残るヒット曲を持つGReeeeN。やたらハイトーンで歌い上げるメロディは、無数の日本男児達をカラオケで生殺しにしてきたに違いない。あと、個人的にはこの世で一番聴かないであろうジャンルの曲だと思う。もっと勉強せねば)

 

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(UVERworldはポップなミクスチャーというところのポジションでは、筆頭のバンドの1つではないだろうか。TAKUYAはその甘いルックスと歌声がカッチリハマるタイプですよね。ミッドハイ、ハイの発声が非常に得意なタイプの人)

 

 女性シンガーの紹介

2000年代の女性シンガーの所感:

  • 90年代に引き続き、存在感のあるソロシンガーが多く現れる
  • 歌唱技術的に言えば、90年代よりも向上している印象
  • パワフルなミッド〜ハイを放つシンガーが多く現れたのは、R&Bやゴスペルの影響からか
  • シンガーの個性という面で言えば、意外にも一番際立っていた時代だったのかも
  • 多人数アイドルグループは、個々の力を数でカバーする

 

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(一時期はポスト浜崎あゆみ的な扱いも受けていた倖田來未。キャラクターや言動については賛否がありつつ、その歌唱力は間違いない。チェスト〜ミドルまで力強く安定した発声であり、ちょっとハスキーな個性的な声質も持ち味である)

 

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(「NANA」での活躍が印象的であった中島美嘉。喉に関しては色々とトラブルがあった様だが、良い意味で籠もった様な個性的な声質は、バラードでもロックでも相性が良い。惜しむらくはやや抜けが悪い点だが)

 

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(今も尚確固たる地位を築くPerfume。天才・中田ヤスタカはボーカルシンセでの機械的ボイスをメジャーの市場にもたらした先駆けであると言ってよい)

 

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(2000~2010年代前半を代表するアイドルグループは、音楽市場的には大問題児であったが、一時期の世を席巻していたのもまた事実。肝心の歌についてはこのグループの魅力である点ではない。歌唱パフォーマンスよりも重視される要素が、この世界にはあるのだ)

 

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(大人気某俳優との結婚や病気の発症など、歌手活動以外での話題も大きく取り沙汰されていた絢香だが、抜群の歌唱力を持つ。パワフルで抜けが良いかつ安定したミッドロー〜ミッドハイが極上の武器である。個人的にこの人の歌声大好きで、幾度聴いても飽きがこないです)

 

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(さくらんぼのとてつもないロングセラーが印象的であった大塚愛。この人の声質も確かな個を持っていて、ちょっとエッジがかかった様にも聞こえる歌声が独特である。恐らくバラードよりはポップな曲の方が相性が良い声)

 

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(女性シンガーで歌が上手い人といったらこの人、という中では確実に一定の指示を得るであろうsuperfly。この人の歌の上手さはフィジカル的な要素が大きく、明快である点もその一端を担っている。小柄な体からは想像がつきづらいソウルフルなハイトーンを放つ)