レクリエーショナル・ビークル的音楽雑記

音楽にまつわるお話を徒然なるままにします。好きなもの紹介・新譜レビュー等

蔓延するカバー動画と日の目を浴びないオリジナルソング

どうもこんばんは。

今回はちょっとyoutubeを眺めていて思っていることがあるので、雑感を述べます。

 

歌ってみた動画の話

歌ってみた動画の数って凄く多いですよね。

歌ってみた自体はニコニコ動画創世期からじわじわと領域を増してきた勢力であり、コンテンツでもありますが、youtubeで一般大衆にも浸透するレベルで次々と歌ってみた動画が投稿される現状は、決してそう昔の話ではないでしょう。

今では特定のクリエイターの新曲がバズり出したら、怒涛のスピードで追随するカバー歌手達が現れ始めます。

日本においてはカラオケ文化も浸透している分、平均的なレベルが高いと思われます。

補正技術が浸透しているとは言え、上手い人が多いですよね。たまに本人より上手いんちゃうかって人も見かけます。

 

オリジナルソングをバズらす難しさ

近年、その煽りを受けているのは間違いなくオリジナルソングかと思います。

マチュアが作った曲がナチュラルにバズり出すみたいなこと、なかなか無いですよね。

昔はカバーとかコピバンより、オリジナルを作ることの方が一種のステータスであった様な状態なこともありましたが、今や状況は一転しましたね。

いかにトレンドの曲を上手く歌いこなせるか、の価値が重んじられる時代になってきたのです。

そりゃあyoutube上で活動しているバンドがカバー動画頻繁に上げ出すのも無理はない。だってオリジナルは再生数伸びないんだもの。

 

何故そうなったのかを考えてみる

 では、何故その様な状況に至ってしまったのか、要因を考えてみました。

1.情報過多の時代の影響

時代のせいと言ってしまってはそれまでなんですが、現代は個人の手には余りある大量の情報が蔓延してしまっているのは周知の事実。

必然的にユーザーは情報の取捨選択を迫られるので、ポッと出のアマチュアのオリジナルソングを聴く優先度は地の底よりも低いのです。

更に、現代はコンテンツに対して「良い体験」を求める傾向が強く、それを踏まえると既にバズっている領域に足を踏み入れた方が、感動を他のネットユーザーと分かちあえるし、リアルでもそのコンテンツを勧めやすいし、現代の流れに追従しているという安心感も得られるし、という一石何鳥にもなる訳です。

 

 

2.多くの人達は自分なりの評価指標を持っていない

多くの人達は、音楽に対して自分なりの評価指標というものを持ち合わせている訳ではないと思っています。

多くの人達は、このバンドはミキシングのレベルが…とか、フレージングのセンスが…とか考えながら聴いてる訳では勿論ないですよね。大雑把に下手なのか上手いのかは、ボーカル位は分かるでしょうけれど。

つまり、再生回数やfavといった数値が与える影響は想像以上に大きい。

バズっている音楽はやはり良いものという固定観念が無意識的に付与されることは、ある程度否めないかなと思います。

勿論、バズってるアーティスト達の多くは、その実力も確かなんですけどね。

 

3.カバーソングは、その歌い手の能力値を分かりやすく証明してくれるから

最近の曲って基本的に難易度高いじゃないですか。

だから、歌い手としては大きなチャレンジング要素になっていると思うんですね。

で、受け手からしてもその歌を歌いこなせる=歌が上手いみたいな分かりやすい判断基準を持つことが出来ると。

ボーカルの細かい技術って、他の楽器とまでは言わずとも、その凄さは伝わりにくいもんなんですよね。

その一方で、自分が歌おうとして失敗した曲を、この人は難なく歌えるんだ…という様な凄みの方が圧倒的に一般的には伝わりやすい訳です。

多くのユーザーは、真新しい途轍も無いハイクオリティなオリジナルソングを歌う無名のシンガーよりも、既存の有名曲を歌いこなすことが出来るカバーシンガーの価値を重んじます。

 

何となく日本のクラシック界隈の図式と似ている

って考えていて思いました。

クラシック界隈の多くの人達は、基本的にはオリジナルを作らずに過去の偉人の作った偉大な曲をどう表現するか、に注力してますから。

それをどこまで素晴らしい表現として出来るかが、大きな価値を持ちます。

それを考えると、カバーソングありきのシンガーの台頭は、別に不思議な話ではない気がしますし、今後も一定の話題性を持ち続けていくことでしょう。今も既に硬い縄で縛られた著作権に奇妙なアップデートが入らなければ。

 

オリジナル嗜好の人達の辛さ

恐らくカバー動画を挙げている人達の中には、本懐じゃないながらもカバー動画上げ続けている人が一定数いると思うんですよね。世知辛い状況です。

仮にそこそこバズっても、オリジナルの動画の再生回数はそれに比べて落ちがちだったりもしますしね。

なので、昔よりも遥かにアーティストに戦略性を求められる時代なんですよね。

楽曲にお金を湯水の様に注ぎ大規模な宣伝を行うのか、はたまたSNSを駆使して人間力をアピールするのか、とか。

良い音楽をひたすらしているだけでは、やはり厳しいね〜という雑感。

何だか辛気臭いかつ落書きの様な内容になってしまいましたが、たまにはこういう感じのもラフに書ければなと思っております。

それでは。